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Q6.プロの演奏者として、この仕事をやっていてよかった!と思った瞬間や出来事はありますか。
演奏会で聴衆から大きなエネルギーをもらえる時がとにかく嬉しいですね。
演奏している最中にオーディエンスの全神経を感じる瞬間があるんです。でもやっぱり演奏が終わった時の拍手などが一番で、それまでの練習の疲れとかすべてが吹き飛んでしまうくらい嬉しいですね。
ステージというのはオーディエンスに向かって何かを発信しているだけの一方通行の場にとらえられがちですが、実は客席からもエネルギーが出されていて相互の関係なんです。そんなことを感じられるのはステージにいるものだけの特権だろうと思うし、そういう時は演奏家をやっていて良かったなと思います。


Q7.18歳でチェンバロを始めて以来、一番印象に残ったエピソードはどんなものですか。
私のような古楽器の演奏家にとって、作曲家に会えるというのは殆ど不可能なことなんですが、今回CDの発表で初めて作曲家の先生に会えたのが一番嬉しい出来事でした。
元々チェンバロの曲が作曲されていたのが基本的には数百年前なので、作曲家も殆どもういないのが通常なんですね。でも今回は2曲伊福部昭先生の曲を録音することになって、事前にご挨拶に伺った際に直接先生からこの曲に対する想いなどを教えていただいたんです。
しかもなんとその時に「イメージが湧く」と言って頂いてこの録音の為にアレンジし直してくれるということで、その場に立ち会えたというのは演奏家としては価値観が変わるくらいの大きな出来事でした。


Q8.新しいアルバムについて、教えてください。
今度のCDはチェンバロの概念を覆すものです。 もともとチェンバロを知っていて、チェンバロ=バロックだと思っている人には驚きを、そしてこの楽器を知らない人にはポップな親しみやすい曲が必ず入っているのでそこから入ってもらえればと思います。
ディズニーのパレードで使われている 曲「バロック・ホーダウン」などのオリジナルチェンバロ版も入っていて、そのためだけに買って頂いた方でも、必ずそこをドアとして他のチェンバロの曲も気に入ってもらえると思うので是非お勧めです。

Q9.今後の活動の方向性や、演奏会の予定などを教えてください。
今お話した新しいCD「Cembalo Revolution」が12月4日に出ます。それから2003年には1月5日に銀座ヤマハ楽器でインストアライブをやります。無料なので是非来てください。そして1月15日には銀座の王子ホールで演奏会をやります。(これらの詳細はプロフィール下のオフィシャルHPに随時アップ予定)

あとこれは演奏会ではないんですけれど、山野楽器のフリーペーパー「ヴァリエ」にて2003年1月号からエッセイの連載を始めるので、読んでくださいね。実際いろいろやりたいことはあって、チェンバロではありえなかった世界をこれからも弾いていきたいです。映像とのコラボレーションなんかも含めた新しい世界を、今のCDリリースや演奏会などをベースに開拓していきたいですね。特にCDは今後も定期的にだして、演奏会も定期的にやりたいですね。ただ楽器が特殊だから搬送が大変なので、その中でなんとかやっていければと思います。

10.最期に、今チェンバロ奏者を目指している人に対して、一言。
何かを真剣にやっている人は続ける勇気をもってやって欲しい。本当に勇気だけでいいので、がんばっていればある日気づくとそれが自分の一部になっているはずです!

有橋 淑和 (ありはし すみな)

□スケジュール
12月4日 // ニューCDリリース (詳しくは下記オフィシャルサイトより)
12月16日 // 新宿高島屋HMVで、TBS.i リブ ラブ イブ ラビータ(6:00-7:30 PM )公開収録。その後サイン会
12月24日 // おおさわゆうりのゆうゆうワイド、出演(8:30-11:30)
1月5日 // 銀座ヤマハ楽器店内ライブ
1月15日 // 銀座王子ホールにて演奏会

2003年1月号から山野楽器フリーペーパーにて連載開始予定

□プロフィール
埼玉県生まれ。
4歳より母親の手ほどきでピアノを始める。
7歳で武蔵野音楽大学付属音楽教室入室。
アンサンブルやピアノ伴奏に関心を持ち機会に恵まれる。
13歳で桐朋学園大学付属子供のための音楽教室入室。
同教室卒業演奏会出演。
桐朋学園女子高校音楽科入学。
ピアノを井内尚子、柴沼尚子、兼松雅子、各氏に師事。
日本ピアノコンクール最優秀賞、ピティナコンクール入選、
日本ピアノ教育連盟ピアノオーディション入選、同オーディション特級取得。
18歳でチェンバロに出会い深い感銘を受けて転科。
桐朋学園大学演奏学科古楽器科チェンバロ専攻入学。
同大学研究科修了。
チェンバロ及びアンサンブルを渡邉順生、崎川晶子、
故鍋島元子、有田正広、有田千代子、中野哲也、
本間正史、花岡和生各氏に師事。
ブラビシモ クラシカ 2001コンクール審査員特別賞。
国内外のセミナー、演奏会に参加。
チェンバリストとして、ジャズサックス奏者の三四朗との演奏会や、
テレビ出演、雑誌のコラム連載などの経験も持つ。


有橋淑和 Official Site

http://www.hammers.co.jp/arihashi/