インタビュー
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fujimaki atsushi title
  10年前にWEBデザイナーという職業は存在しなかった。直後にインターネットがネットバブルと共に大ブレークして、HTMLが分かれば誰でもWEBデザイナーとして食べていける時代が到来したが、そんな時も長くは続かず今や自称WEBデザイナーが街にあふれ返っている状態だ。しかしバブルが崩壊してもネット環境の向上が止まることはなく、今でもハード、ソフト、そして回線などのインフラなどは常に凄いスピードでまったく別のものに成長している最中だ。そんな中バージョンアップする環境をフルに活用し、更なる進化を望む者のみが、今第一線で活躍していけるデザイナーと言えるだろう。

今回は普及率も遊べる度合いも非常に高いことでおなじみのプラグイン、Macromedia社のFlashでの制作を得意分野として、ナイキジャパンのサイトをはじめ国内最新にして最大のクラブagehaのサイトなど、エッジを求められるWEBデザインの現場第一線で活躍する、non-gridの藤巻敦氏にインタビューを試みた。尚、氏は本サイトArtArcの連載でもおなじみであり、それとあわせて読むことでより説得力は増すであろう。

Q1.ご自身のデザインの源をあえて言葉で表すとどういった表現になりますか。
仕事の依頼ではなく能動的にものを作るのきっかけは、初めて誰かと会ったときや、既に知っている人の新しい一面などを発見したときですね。そういうときに一番作りたいという衝動に駆られます。何かものを見て「ああ、こういうものを作りたいな」ということはごく稀で殆どないです。人との交流の中で、その流れが変わるときなどにむしょうに何かを作りたくなります。

Q2.成長過程ではいつどんなきっかけで「デザイナーになろう」と思いましたか。子供の頃持っていたほかの夢はどんなものがありますか。
一番はじめは普通にありがちでスポーツ選手になりたかったです。バスケットボールとかサッカー選手とか。その後はバイクをいじっているうちにメカっぽいものが好きになって、そのころから少しずつ「作る」っていうことが好きになり始めました。それで家具を自分で作ってみたりアクセサリーを作ってみたりという風に、趣味の中心がいわゆるクリエイティブなものになっていきました。その流れでMacintoshを購入したのですが、当時自分の回りにそういうことをしている人間が少なくて、同じ志を持った人達に会えたらという思いでスクールに入って、そこから完全に興味の中心がグラフィックデザインの方向になっていきましたね。
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Q3.WEBとの出会いと、そこからどのようにしてプロにまでなったかを教えてください。
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もともと勉強というよりは同じ趣味を持てる仲間と会うためにスクールに行ったので、そこで会った人達とイベントのフライヤーなどを作ったりしていたのですが、もっともっと作りたいという欲求にかられて東京に出てきました。その頃は単に思い切り遊びまくっていたんですけれど、そこで会った人の一人からとあるデザイン事務所を紹介されて、その辺りからいわゆるプロと呼ばれるものになっていきました。そこでメインでやっていたのがWEBだったので自然と得意分野もそっちの方へといった感じです。
Q4.現在はWEBを中心に活動していますが、他の分野ではどういったところに興味がありますか。
もともと趣味などで家具やアクセサリーなども作っていたし、Tシャツや紙のデザインなんかもやってみたいというのはありますね。ただ今一番の興味の対象がWEBなのでやっぱりそれがメインですね。ただWEBだけだとモニターの中だけで完結してしまうので、できればWEBをインターフェースとしてリアルなプロダクトにつながるような流れを作ったりして、グラフィックだけでなくそういった全体の流れをデザインするようなディレクションの分野もやっていきたいですね。

Q5.仕事の依頼から納品、運営までの流れを簡単に教えてください。
はじめにいつも付き合いのあるところや新規のクライアントから依頼がきたら、まず彼らが具体的に何をしたいのかをヒアリングします。それをベースに効果が最大に出せる企画を考え、今度は逆にこちらから提案していくのですが、この時出来る限りWEBならWEB、FlashならFlashといった最終納品形態に近い形で持っていきます。これを何度か繰り返して決定した形でやっと実際の制作に入り、それが完成したら動作確認などをお互いに行ってから納品となります。この後が、WEBが他のクリエイティブと一番違うところなのですが、納品した後も契約によっては、更新したりメンテナンスを定期的に行ったりします。ケースバイケースではありますが大体それが一般的な流れですね。
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●次回は実際の作業フローや今後の活動について伺ってみます。お楽しみに!