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●映像編集の工程
 では実際の制作の流れを見ていきましょう。

 1)プラン
  どういうものを作るのか?をベースに準備をします。特に撮影をするときは、完成予想図を決めておかないと必要な素材が撮れてなかったりして大変ですよ。
  例)時間、ストーリー、カット割り(どういう風にカメラで撮るか)、撮影順、ロケ地、人数、グラフィックスのイメージ、必要なデータなど
 
 2)素材準備
  編集するための素材を用意します。
  実写を使うならminiDVのデジタルビデオカメラで撮影します。多めに撮っておくのがコツ(撮っておいてボツにはできても、撮ってないものを使うことはできないですからね)。
  グラフィックスを使う人は、各アプリケーションでデータを制作し、動画編集アプリケーションが読み込める形式に変換しておきます。
  音楽素材を使うときは、CDや音源を用意し、やはり動画編集アプリケーションで読み込める形式に変換しておきます(他人の楽曲を使うときは個人使用の範囲で)。
  
 3)素材読み込み
  素材が揃ったら、動画編集アプリケーションを起動し、素材を読み込みます(→イメージ04)
  デジタルビデオカメラを使う場合はIEEE1394ケーブルで接続してから動画編集アプリケーションを起動します。テープの内容の「ここからここまで」という時間指定をし、データをPCにキャプチャ(取り込み)します。
  グラフィックスや音楽データは、動画編集アプリケーションのインポート(読み込み)機能を使って、編集作業ファイルに読み込みます。
  ほとんどの動画編集アプリケーションは、編集データ(どのデータのどの部分をどのように使っているか)だけを保存しており、素材(実際の動画やグラフィックス、音楽)のデータはインポートしてきたファイルそのものを参照しています。ですから、一度インポートしたからといって、それら素材のファイルを移動したり削除したりすると、動画編集アプリケーションが編集途中のデータを復元できなくなりますから注意してください。

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  04▲Premiereに素材をインポートした状態。
いったん読み込んでおいて、ここから使いたい素材を選ぶ。

4)編集
  動画編集アプリケーションの機能を駆使して編集します。たいてい、編集データは「タイムライン」と呼ばれる時間の流れによって管理されており、完成作品の0秒(スタート地点)から始まって、時間:分:秒:フレーム(=1枚の静止画 日本のテレビは1秒間に29.97枚のフレームからできている、高速のパラパラマンガのようなもの)の番地が付けられています(→イメージ05)
    
  主な流れは
   (1)素材を選ぶ
   (2)[動画や音楽の場合] 素材のどの部分を使うか決める
   (3)(2)の素材をタイムラインのどこ(時間)に挿入するか決める
   (4)タイムライン上で位置や長さを微調整する
   (5)フィルタやエフェクトを適用する
   (6)音楽と合わせる
  
 5)レンダリング
  編集が終わった!と思っても終わらないのが動画編集の特徴。さまざまな素材を組み合わせたらそれを再計算し、最終的に一つの動画ファイルとして書き出す作業が要るのです。これをレンダリングといいます。
  どのくらい時間がかかるかは、編集内容(合成や特殊な加工が多い場合は時間がかかる)やデータの長さ、PCのCPU能力などによりますが、ある程度の時間がかかるものだと思って間違いありません(→イメージ06)
  そのため、初めのうちは作って失敗、直してまた失敗、と言う試行錯誤が続くかもしれません。そのうち、編集作業の途中で部分的にレンダリングして確認することを学んだり、失敗しないような設定を覚えたりするので、そこは地道に経験を積めば解消できるでしょう。ちょっと辛いかもしれませんが、自分の作品ができあがったときの感動を体験すれば、そんな苦労は吹っ飛びますよ。

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  05▲Premiereのタイムライン。右に向かって時間が進む。
Photoshopのレイヤーのように、複数の素材を
「トラック」として重ねることができる。
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 06▲ムービー作成中。時間がかかります。
数時間かかるときは風呂入ったり寝たりしてください。
私ならそうします。

 6)書き出し
 完成した映像作品は、他のメディアにコピーします。
 デジタルビデオカメラを使っている場合は、動画編集アプリケーションの書き出し機能で、miniDVビデオテープにそのまま書き戻しができます。そこからVHSにコピーしたりTVに写したりできます(→イメージ07)

 CD-RやDVD-Rに焼くときは、それぞれに適したフォーマットでレンダリングしておく必要があります。特にDVD Videoに焼くときは、MPEG2という形式にする必要があります。

 インターネットに公開するときは、さらにデータ量を軽くするために別のフォーマットに変換します。動画編集アプリケーションから直接書き出せる場合もありますので、使用するアプリケーションのマニュアルを参照してください。
 
 7)データ保存
 書き戻しが終わったら、いったん素材データと編集データ(動画編集アプリケーションのファイル)を一つのフォルダにまとめて保存しておきます。もう修正しない、となったら、完成した動画データだけを残して削除してもかまいません。
 
 以上がPCでの動画編集の流れです。
 紙やWebのグラフィックス制作とは異なり、時間軸があって重いデータを大量に扱う動画編集は、時間もマシンへの負荷もかかります。それだけにできあがったときの感動はひとしお。最初は15秒程度の短い作品を作り上げるところから始めて、徐々に長編作品へトライするのが投げ出さないコツだと思います。
 最近は動画のコンテストも増えているので、才能をアピールするチャンスも多いです。PCでの動画編集からスタートした映画監督やディレクターが生まれる日も近いでしょう。健闘を祈ります!  

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07▲書き出し中。PC(左)からデジタルビデオカメラ(右下)を経由してテレビ(右)へ出力しています。デジタルビデオカメラからVHSビデオデッキに接続すれば、そのままビデオテープに録画できます。

   09▲DVD-Rに焼けばMy DVDにも。