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■画像フォーマット
 デジタルデータには数多くの形式(フォーマット)がありますが、画像データにもいくつかの種類があります。それぞれ得手不得手があるので、用途や長短所を理解してチョイスしてください。主なものを紹介します。

【ラスタデータ】
拡張子 名称 概要 長所 短所 用途
bmp ビットマップ Windowsの画像標準フォーマット Windows上の画像ソフトならほとんど対応 無圧縮のためサイズが大きい Windows同士での画像のやりとりや保存に
pct ピクト Macintoshの画像標準フォーマット(OS9まで) Mac上の画像ソフトならほとんど対応 Windowsでは見られない Mac同士での画像のやりとりや保存に
jpg JPEG インターネット標準。ほぼすべてのグラフィックスアプリケーションが対応 フルカラーの画像に強く圧縮率が高い 一度JPEGに変換すると元のクオリティには戻らない デジカメ画像の保存、Web用の画像に
gif ジフ インターネット標準。アニメーションさせることも可能。 ベタッと同じ色が続く画像(イラスト、アニメ、ロゴ)や文字の画像に向く 256色までしか発色できない Web用の画像に
tiff ティフ OSに依存せず幅広く使えるフォーマット。非圧縮、圧縮が選べる 多くのグラフィックスアプリケーションが対応 ファイルサイズが大きい 画質重視のデータ保存用に
png ピング jpgやgifに変わるWeb用フォーマットとして開発 フルカラーの画像を劣化せずに圧縮できる 対応グラフィックスアプリケーションが少ない 今後の進展が不明なので様子見がおすすめ
psd Photoshop形式 Adobe Photoshop用フォーマット。レイヤー、チャンネル、パスなどの情報を保持できる。 Photoshop独自機能をそのまま保持できる 対応しているグラフィックスアプリケーションが少ない Photoshopの作業中ファイルの保存に

【ベクターデータ】
拡張子 名称 概要 長所 短所 用途
eps イーピーエス ポストスクリプトというベクタータイプの一種。 高速表示の画像用データと高解像度のプリンタデータ、プレビュー画像が保存できる 表示や出力にアプリケーションやプリンタを選ぶ DTP関連の作業向け
ai Illustrator形式 Adobe Illustrator用フォーマット。 独自機能をそのまま保持できる 対応グラフィックスアプリケーションが少ない Illustratorの作業中ファイルの保存に
pdf ピーディーエフ MacOS Xの画像標準フォーマット。もともとはAdobeのドキュメントフォーマット OSを問わない再生互換性 表示の際にリアルタイムでラスタライズされるのでマシンパワーを要する 画像単独フォーマットとしては未知数

■デジタルデータの取り込み
 1から自分で作り上げるのでなければ、画像をPCで扱えるデジタルデータに変換し、PCに取り込む必要があります。画像の種類別にその方法をまとめました。
 
▼実写を取り込む
 一番手っ取り早いのはデジタルカメラ(デジカメ)です(→イメージ02)。銀塩フィルムを使うカメラと同じようにシャッターを切るだけで、実写風景が即座にデジタル化され、メモリーカードに蓄えられます。
 デジカメのいいところは、デジタル化が瞬時に行われることと、そのデータがすぐにPCで利用できるフォーマットになっていることです。後述のメディアと比べると格段にPCとの連携がとりやすい機器なのです。
 撮った画像をPCに取り込むには、デジカメ本体、またはメモリーカードリーダーをPCと接続し、データをコピーします。ほとんどのデジカメは、画像データをJPEG形式で保存しています。これはWindows/Mac OSが標準で扱える形式ですし、ほぼすべてのグラフィックスアプリケーションで加工が可能です。

▼写真(印画紙)や紙に書かれたものを取り込む
 写真や紙の原稿をPCで扱えるデジタルデータにするためには、フラットヘッドスキャナ(→イメージ03)という機器を使います。
 原稿を裏返しに載せて蓋をし、コピー機の要領で写真を読みとります。スキャナは読みとるときに原稿に光を当て、その跳ね返ってきた光からデータを読みとるので、こういった紙の原稿は「反射原稿」と呼ばれます。
 スキャナは写真を取り込むだけでなく、すでに書かれたものを参考に別のデータを作るときに下書きのデータとして読み込むときにも使われます。たとえばロゴマークを紙と鉛筆で下書きしてそれをスキャンし、グラフィックスアプリケーションでトレース(なぞる)するといった使い方です。
 反射原稿のスキャンはスキャナの性能にもよりますが、あまり高画質にはなりません。紙メディアになってしまったものを改めてカメラで撮るようなものですから、どうしても100%のクオリティは読み込めません。また印刷物をスキャンすると、細かい網点(印刷するときにシアン・マゼンダ・イエロー・ブラックの4色を細かいドットで混在させて印刷する方法)がモアレと呼ばれる縞模様のノイズを生んでしまうこともありますので、注意が必要です。
 読み込んだ画像データは、好きなフォーマットで保存できます。大量に保存するときは「JPEG」で保存しておけば良いでしょう。

▼ポジ・ネガ(フィルム)を取り込む
 同じ写真でもポジフィルムやネガフィルムをフラットヘッドスキャナで読み込もうとすると、真っ黒になってしまいます。これはフィルムが光を反射する性質ではなく、光を背後から当てられてはじめて画像を再現する性質だからです。ちょうどステンドグラスのようなもので、光が通り抜けると色や形がはっきりするのです。このためフィルムは「透過原稿」と呼ばれています。
 透過原稿を読み込むためには、フィルムスキャナというフィルムスキャナ専用のスキャナを使います。これはフィルムを差し込んでその背後から光源(蛍光灯や特殊なランプ)を当て、その透過光を読みとるものです。小さなフィルムからでも驚くほど精細な画像が読み込めます。もちろん印画紙に焼くための「元版」ですから、印画紙からよりも高画質でデジタルデータ化できます。
 サイズの大きなポジフィルムは、フラットヘッドスキャナに「透過原稿ユニット」と呼ばれる蛍光灯ランプがついたオプション品を接続して読み込みます(→イメージ04)。ポジフィルムを読み込む機会がある人は、必ずこの透過原稿ユニットが接続できるスキャナを用意してください。
 どちらのスキャナも、読み込んだ画像は好きなフォーマットにすることができます。画質にこだわる業務用途なら、画像データを劣化させない「非圧縮TIFF」形式を、それほどクオリティを求められないケースは「JPEG」で少し圧縮して(画像は劣化しますがデータ量は減ります)保存しておきます。

 

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 02▲デジカメは周囲のものを手っ取り早く
デジタル化できて使い道が広い。
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03▲フラットヘッドスキャナ。
ガラス面に原稿を伏せてスキャンする。
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04▲フラットヘッドスキャナに
透過原稿ユニットを取り付けた状態。裏側から
光を当てることでフィルムも読み込める。

▼動画から取り込む
 ビデオなどの映像メディアから画像を取り込むのは少々面倒です。まず動画をPCで扱えるデジタルデータに変換し、そのファイルから目的の静止画像を取り込むという2ステップが必要だからです。
 まず最初の動画のデジタルデータ化から。miniDV形式のデジタルビデオテープに録画された動画ならば、同形式のデジタルビデオカメラをIEEE1394(iLink、またはFirewireとも言う)ケーブルでPCとつなぐだけで読み込むことが出来ます。別途取り込み用のアプリケーションが必要です。DV形式自体がPCで扱えるデータなので、単にデータをコピーしているだけなのです。これが一番ラクなフォーマットですね。
 VHSや8ミリビデオの動画はアナログデータなので、ADコンバーターと呼ばれる機械を通してデジタルデータに変換し、そこからPCへケーブルでつないで読み込みます。最近のminiDVデジタルビデオカメラには、アナログビデオデータをリアルタイムでデジタルに変換し、PCへ送り出す機能が付いていますからそれを使うのも手です。
 次にデジタルデータ化した動画ファイルから静止画像を取り込む方法。動画を開けるアプリケーション(Windows Media PlayerやQuickTime Playerなど)で動画を再生し、目的のシーンで一時停止、そのままスクリーンショットを撮るのが一番手っ取り早いです(かなり乱暴ですが)。この方法はDVD Videoの映像から静止画像を取り出すときにも使えます。もし動画編集アプリケーションがあるなら、それで動画ファイルを開き、目的のシーンを表示させ、静止画に描き出します。これが正攻法ですね。
 スクリーンショットを保存したファイル、もしくは書き出した静止画像はOSが標準で扱える形式なので、どのグラフィックスアプリケーションでも使えます。
 

 いずれの方法でも、PCで扱えるデジタルデータにすると、加工、コピー、保存、複製など、飛躍的に利用価値が高まります。印刷で使用したデータをWeb用にしたり、そこからPDFファイルを作ったり、プロモーションビデオのテロップにしたり、とマルチユースが可能になります。
 一度デジタル化したデータは大切な資産ですから、確実にバックアップをとって有効活用しましょう。

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05▲DV端子からPCのIEEE1394端子へ
ケーブルをつないで取り込む

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