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本番当日
 「ワンダフル」は23時50分からの生放送。レギュラー出演者の入り時刻(*1)は22時位なのだが、ゲストとなる自分はテレビの現場が不慣れな上、スタッフとVJセットの打ち合わせもあったため20時入りであった。
 赤坂にある巨大ウルトラマン像と赤坂ブリッツの間を通りTBSの本社ビルに入っていった。ここが世界の中心なのではないかと思うような迫力のあるロビーを通りエレベーターで上がると、そこにスタジオがあった。

 すぐに準備を開始。テレビとは言えいつもの現場とセッティングすることは大して変わらないので、大道具(*2)の人が用意してくれた台に機材を用意。しかし実際に映像を出してみると、いつも使っているスキャンコンバーター(*3)の調子が悪く、画面にノイズが入ってしまう。これでは電波に乗せられない(*4)
 そこで急遽、スタジオにあった業務用スキャンコンバーターをお借りする。さすが(買ったら60万円位する)業務用、調子はばっちり。
 と言ってもVJで流す映像の画質は一般の民生用と業務用(*5)の間を行ったり来たりというレベルであり、いわゆる地上波放送用レベルとはかなり格差がある。そこでラインで流す(*6)のではなくスタジオにモニターを置き、それをカメラで映すこととなった。

 無事に映像が映り、台本を見ながら今日の進行を確認して準備完了。本番までは時間があるので控室に案内された。畳張りの豪華な個室。そこでお弁当を食べながらテレビを見ていると「ああ、こんななら毎週ゲストになりたい!」と思ったりもするのだが、そんなことはあるはずもない。
 ほどなくしてADが呼びにきてリハーサルの時間となった。

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▲大部屋ではなくて個室だった!

 VJをやっているとリハーサルのないものとあるもの両方に当たる。
 クラブは基本的にない。行って、セットアップしてプレイして終わり。途中でライブなどが入ったりするときは「ここで映像落としてね(*7)」程度のことは言われるが、大体8時間位DJ、VJは途中でメンバーやチームを交代しながらやりっぱなしというのがほとんどだ。
 一方、構成や進行が存在するイベントでは、テクニカルリハーサルと呼ばれる技術系の確認事があり、その後に通しでやるランスルーリハーサル(*8)がある。ここまでしっかりある場合は「プレイは夜の2時間だけ」と言うイベントであっても会場入りが朝だったりして、結局8時間から長いときは12時間以上拘束されるケースもある。

 この日のテレビ出演はその中間くらい。機材に関しては現場の人達は毎日やっていることなので今さら大したチェックもなく、若手スタッフを出演者に見立ててざっとした流れのリハーサルをやって終わり。数々のコーナーをさらっと確認したら、いざVJの出番。
  ここで自分が作ってきたものを映したのだが、その日は前日放映分を取り込んで作った司会・辺見えみりさんの素材をミックスして流した。

 リハーサル中にご本人はまだいらっしゃらなかったので、番組プロデューサーから「これは驚かせたいから、本番で突然本人に見せよう」との提案が。テレビ、特に生放送のスタジオではこういった"演出"はすべて出演者の了解の上でやっている(*9)と思っていたので、本当に驚かせていたというのは意外であると同時に、どんな反応をしてくれるのか楽しみでもあった。

 カメラ位置やインタビューのやりとりなどのリハーサルを終え、いよいよ本番。フロアのメイクさんに軽くスポンジでテカリを押さえられながらスタンバイ。


 いよいよ出番。取材したVTR(Vol.73参照)が終わり、カメラがスタジオに切り替わると、司会者の背後にあるモニターに作ってきた番組ロゴが流れ始めた。
 司会から紹介され、さっそくミックス開始。ここで打ち合わせ通り、辺見えみりさんの素材をチョイス。モニターに映し出された時、ご本人はとても喜んでくれた(*10)のでこちらも素直に嬉しくなってしまい、それに気を取られているうちに本番は終わっていた。

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▲モニタの映像に注目

 後日人から聞いた話では、テロップで「映像の魔術師」と出ていたとのことだったが、その呼び名に関しては「VJ」の時のように勝手に付けられて気づいたら自分も含めて根付いていたなんてことにならないことを祈るばかりだ。

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▲ホントに書いてあった

(*1)Vol.72(*2)参照。
(*2) スタジオのセットや大がかりな舞台装置を受け持つ担当スタッフ。
(*3)パソコンの映像信号をビデオ信号に変換する装置。PCから映像を出力するときに必須の装置。
(*4) 放送できる品質でないということ。
(*5)  一般的な市民が使うレベルの製品を「民生用」、放送以外のプロが(企業のビデオや展示会などで)使うレベルの製品を「業務用」と区分する。さらにその上に「放送用」レベルがある。民生用と業務用にはそこそこの価格差があるが、業務用と放送用ではまさに「ケタ」が違う。
(*6) ここでは「PCからの映像出力をそのままオンエアで流す」の意味。
(*7) 映像を止めること。いきなり止めるとスクリーンが真っ暗=会場がいきなり暗くなるのでNG。黒い画面にフェードアウト(徐々に映像が消えるように)させる。
(*8)
出演者も交えて本番通りにやるリハーサル。すべての内容はやらないが、入退場や転換などはきちんとやる。
(*9) 驚かせる内容によっては事前にいろんな人に許可を取ったり前もって趣旨説明やリアクションを打ち合わせなければ不可能。
(*10)  よく考えてみればプロのタレントが本番中にしらけたことを言うはずもないのだが。

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MOOK1MOOK1
Vision QuestやageHaといった巨大クラブイベントやブランドや車メーカーなどのショウでもプレイするプロのVJ。
Chilled LoungeといったコアなパーティではDrum'n' BassのDJも務める。
著書「Make It Move!」
WEBSITE >> www.mook1.com