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言葉
Q6:一般に公開される商品を開発するにあたってのつらさと楽しさを教えてください
 つらいのはなんといってもこちらのこだわりが伝わらない場合ですね。できるだけリアルに見せようとしてテクスチャーを本物に近づけると「グロい」と言われたり、遺伝子組み替えなど本物の楽しさと同じものを追求すると「いろいろ多すぎて面倒」と言われたり、ユーザーも当然いろいろな方向に分かれるので、万人に喜んでもらえるものを目指している立場としてはそこがつらいです。
  楽しいのはストレートですけど、自分のイメージしたものが実際に商品なって出来上がるのはやっぱりうれしいですね。
 
Q7:クリエイティブにあたりこれは絶対、という自分なりのルールはありますか

 私は立場的に、プロデューサーである営業チームのイメージを具体化して提示する、ディレクターの立場にいます。営業とクリエイティブの意見が対立したときなど、一番よいものを出すためのバランスを決めて、それを双方に伝えて納得させなければならず、そのため逆にルールは固定のものを作らず臨機応変でいる、ということ位ですね。
 「アクアゾーン」は購入した後もどんどん色々と買い足していくことが前提のソフトなので、一旦開発が終わった後でも、少しずつ良くしていけるソフトなんですね。なのでバランスによってどちらかがあまり納得しなかった場合でも「次がんばろうよ」という一言がいい易いのでその点は助かってます。

作品
Q8:アクアゾーンは今後どのような方向に展開していくのですが
 PCの性能もあがって昔に比べると多様性をもったソフトにすでになっているので、今後も方向が複数考えられます。オリジナルの通り、非常識にならない程度のリアルさを追求して、そこに更に3Dを掘り下げていくとか、逆にシンプルなもので本物ほど細かい配慮がなくてもなんとなく育つもの、それから魚以外の生き物を入れていくような新機軸など、できればその全てを複数バージョンとして追求していきたいですね。
作品
Q9:開発全般としては短期的にと中長期的に今後どのような方向に進んでいきたいですか
 短期的には今のアクアゾーンのグラフィックをより綺麗にして、仕様をシンプルにした幅広いユーザー向けのソフトをひとつ、新たなバージョンとして近々リリースの予定をしています。
 
   その後はそのグラフィックを引き継いでシミュレーションもリアルなものも出していきます。長期的にはやはり「水」の範囲を広げて魚以外の生き物や、ゆくゆくは自然界全体の生態系のシミュレーションなどを開発して、環境保護などを伝えられるようなことをやっていきたいですね。
作品
Q10:これからソフト開発を始めたい、と言う人にアドバイスを

 私もそうだったんですけれど、何か一つでもいいので得意分野が欲しいですね。たとえばプログラムができてもプラスアルファでゲームのプログラムだったら詳しいとか、運動系のことに詳しいとか。
  それと、何かを始めたらどんな小さくてもいいので、きちんと最後まで終えることですね。プロジェクトのアイデアや途中までやったものも、やめようと思ったその先も続けて終わりまでやって初めてモノになるので、何か始めたら必ず完成させましょう。それを積み重ねればそのうち自然にそれが仕事になると思います。

作品
かざみ・きよし
東京都葛飾区出身
幼少のころより昆虫動物といった生き物全般に多大な興味を持ち、そのまま大学では「生物生理」を専攻。
卒業後外資系製薬会社に勤務。
94年に生物学のスペシャリストとして「アクアゾーン」の開発に関わるために 「9003(シノミクスの前身)」に転職。
「アクアゾーン」シリーズ「ピナ」などの開発担当として現在に至る。
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